初心者さんでも育てやすい冬の花の選び方をお伝えします。
②プリムラ類
晩秋から春先にかけての花の少ない時期に、カラフルで愛らしい花をたくさん咲かせ、花壇や鉢植え、寄せ植えに欠かせない花として古くから親しまれるプリムラ。名前(Primula)の語源は、ラテン語の「primus」で「いちばん初め」という意味があります。バレエのprimaもここからきています。春の訪れとともに、ほかの植物よりいち早く開花することからこの名前がついたといわれています。
プリムラは、パンジーやビオラに引けを取らないほど、カラフルな色彩が揃っています。花形もひと重咲き、八重咲き、ピコティ咲き、フリル咲き、バラ咲きのような形まで多彩です。草姿は、株元から太い主茎を伸ばし、その先端にいくつもの花をつける「ポリアンサ(クキ立ち)」タイプと、根元からたくさんの花茎を伸ばし、先端にひとつだけ花を咲かせる「アコーリス」タイプの2種類に分かれます。最近よく出回っているのは、アコーリスタイプの方が多いです。
現在、日本で販売されているプリムラの主な品種は大きく分けて5つです。
ヨーロッパ原種をもとにした「ジュリアン」と「ポリアンサ」、アジア原産種をもとにした「マラコイデス」、「シネンシス」、「オブコニカ」です。
プリムラ・ジュリアン
ジュリアンはサクラソウ科サクラソウ属の多年草で、プリムラの園芸品種です。ヨーロッパを原産とするプリムラ・ポリアンサと、プリムラ・ジュリエを交配させて1972年に誕生しました。最近の日本の夏の暑さに耐えられないので、原産地では多年草として扱われますが、日本では一年草として扱われることも多いです。
草丈は10~20cmほどと小型です。次々と花を咲かせる多花性が特徴です。寒さに強くて育てやすく、一重や八重、バラ咲など咲き方も様々あります。
プリムラ・ポリアンサ
イギリス原産種から作出された交配種です。
17世紀にはすでに数種の園芸品種があり、19世紀後半には庭園用の系統が育種されました。
第二次大戦後にアメリカで大輪品種の「パシフィック・ジャイアント」が作出され、そこからさらに多くの園芸品種が作られ、現在では鉢物、花壇の定番として広く流通しています。 店頭で出回るのは、5寸鉢仕立てのことが多いです。
プリムラ・マラコイデス
プリムラ・マラコイデスは、中国に分布するサクラソウ科サクラソウ属(プリムラ属)の二年草です。
分布域は中国南部の広西チワン族自治区、貴州省、雲南省にあり、標高1800~3000mの高原、森林の開けた場所、小川沿いなどに自生しています。
美しい花を咲かせることから観賞用として広く栽培されているプリムラの一種で、数多くの園芸品種が作出され、流通しています。
プリムラ・マラコイデスの花期は1月~4月。
花期になると、株の中心から花茎を伸ばして花序を出し、花径2~3㎝程度の小さな花を多数咲かせます。
基本種の花色は淡いピンク~紫色ですが、園芸品種では赤、ピンク、紫、白、複色など多彩な色が揃います。
耐寒性は品種により異なりますがプリムラの中では比較的耐寒性があります。
暖地では霜の避けられる場所であれば戸外での冬越しが可能です。
寒さにだけ注意すれば丈夫な性質で、種からも育てることが可能です。
プリムラ・シネンシス
プリムラ・シネンシスは、中国の四川省原産です。特徴としては、葉に深い切れ込みが入ることです。最初のころは、白色がほとんどでしたが近年は赤やピンク色も出回る様になりました。
プリムラ類の中では比較的耐暑性があるとはされています。このところの猛暑でも水管理さえしっかりできていれば、夏越しできています(於:千葉県)
プリムラ・オブコニカ
プリムラ・オブコニカは、中国に分布するサクラソウ科サクラソウ属の多年草です。
分布域は中国中部から南西部にかけて広がっており、山の岩場や森林などに自生が見られます。
美しい花を咲かせることから、観賞用として世界で広く栽培されており、数多くの園芸品種が流通しています。
プリムラ・オブコニカの花期は12月~4月。
花期になると、株の中心から花茎を伸ばして花序を出し、花径3~5㎝程度の花を多数咲かせます。
基本種の花色は淡いピンク~紫色ですが、園芸品種では赤、ピンク、紫、オレンジ、白、複色など多彩な色が揃います。
☝ご注意ください☝
愛らしい花を咲かせるプリムラ類ですが、マラコイデス、シネンシス、オブコニカは葉茎にある腺毛からプリミンと呼ばれる有毒成分を分泌しています。
接触すると人によってはアレルギー症状を引き起こすことがあります。
水かけや花がら摘みなどの管理作業をする際には、ビニール手袋やマスクをして行ってください。
近年ではかぶれの原因となるプリミンを抑制した交雑種が作出されているので、購入の際に確認することをお勧めします。
(ただし、体質等でこれらも必ず大丈夫ということも限りません)